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2007.07.23

蕭萬長がインタビューで台湾の区域統合の推進を主張

 先のエントリーで述べたとおり、国民党陣営が「両岸共同市場」を提起した後、民進党陣営を中心に反論が相次いでいる。そうした反論に対し、元行政院長であり、国民党副総統候補の蕭萬長が東森で反論を述べている。

 原文は以下から。
金融風暴10周年/台灣應放棄鎖國並掌握區域經濟整合

 蕭萬長の主張を簡略すれば、10年前、行政院長として、アジア危機に対処した実績の強調し、そして中国との経済統合の必要性を主張している。

 事実、97年のアジア金融危機の際、ほかのアジア諸国が深刻な金融危機に陥った中、台湾は安定した経済成長を続けた。そうした経済危機を強調しつつ、蕭萬長は現在の陳水扁政権には政策の一貫性が欠け、グローバル化と区域経済の統合の潮流に遅れ、台湾の経済競争力が落ちていると批判し、生産拠点としての中国市場の有望さ、そして巨大な中国市場の魅力を強調し、中国との経済統合を進めることを主張している。

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 10年前、アジア金融危機の際、台湾の経済状況は、人々から羨望され、NIES(香港、シンガポール、台湾、韓国)のなかで、もっとも高い成長率を誇った。10年が過ぎた現在、台湾の競争力はアジアの諸国家の中で遅れをとり、10年前、危機に陥ったアジア諸国家は自信を持って前進する中で、台湾は相変わらず元の場所に留まり、その差異は大きくなる一方である。これは深く反省すべきことである。

 台湾が元の位置に立ち止まっている最大の原因は、2000年の政権交代以降、政策は連続性に欠け、中国化を排除し、鎖国政策を死守し、グローバル化と区域経済統合の潮流を把握していないことが、台湾の競争力を低下させている。国民は皆それを体感しているはずである、すなわちイデオロギーから抜け出し、さらに大きな枠組みを創り出さなければならない。

 10年前、自分が閣僚に任命され、政策の舵取りを任された際、アジア危機がもたらした重大な衝撃に直面した。自分は薄氷の上を歩むように、慎重にその変局に対応し、台湾は危機を無事に乗り切ることができた。その主な要因は、自分が主導した経済チームに以下の6項目の措置を採ったからである。

 第一、正確な産業政策の作成。ハイテク産業の育成を促し、高度成長をもたらすこと。ほかのアジア各国の輸出が減少した際、台湾の輸出成長率はむしろ増加した。

 第二、メカニカルな為替レートを採用したこと。台湾ドルの米ドルに対する為替レートを26台湾ドルから34台湾ドルに低下させ、輸出競争力を増加した。

 第三、両税の統一化を実施し、伝統型産業の転換を推奨したこと。

 第四、金融営業税率を5%から2%に減税したこと。それにより銀行の貸し倒れを防いだ。

 第五、株価の安定。第六、企業の財務問題の解決。劉兆玄、江丙坤、邱正雄、許遠東、彭淮南、王志剛、韋端、郭婉容など財務チームと協力し、毎日、国際とアジア各国の財務情報を収集し、検討を進め、対策を練り、各産業の問題を解決することをまい進し、その結果、台湾は無事アジア危機を乗り切ることができた。

 台湾の株価指数は当時9000台湾ドルから5400台湾ドルまで減少し、世論は証券取引税の減税を求めたが、自分は断固として拒否し、その理由は台湾経済は悪くなく、株価の急下落は短期的な心理的要素によるものが大きく、政府は一定の政策を堅持し、混乱してはならなかった。最も重要だったのは根本的解決であり、それは経済体質、すなわち金融、産業、人的資源など各種産業から検討し、その体質を強化し、さらに高度化を加速することであり、それは人体の体質を強化するのと似ていて、免疫力の向上は伝染病に対抗力がつくのと同様である。しかし残念なことにこの七年間、政府は健全な経済体質を建設する方案を棚上げしてしまった。

 

 一方で韓国は国家が破産の危機から脱出し、台湾の国民所得を越し、外貨準備高も台湾を超過している。それは前大統領の金大中が学者、専門家などの提案を採用し、国会に人民の圧力に直面させ、国会の少数与党が各種経済振興策を通過させた。

 それは市場機能を尊重し、金融改革の実施を徹底し、産業高度化の促進、文化産業の奨励などである。その結果、10年以内に、再び成長し、近年ではグローバル化を推し進め、区域経済の統合の潮流を掌握し、2010年以内に東アジア、アメリカ、日本、中国、ならびにEUなどの重要貿易相手とFTA協定の締結を完成を目指している。

 シンガポールはアジア危機の後、さらに開放を推し進め、専門的人材の移民の吸収を進め、10年間で人口数は250万人から、420万人に増加し、スイスのプライベート銀行業務の開放をモデルにして、シンガポールを運輸センターから金融センターへの転換させた。

 韓国、シンガポールなどアジア諸国はすでに準備を整え、グローバル化と区域経済の統合による商機を把握し、順応している状況に直面し、台湾は中国共産党の圧力で機会が無い事を理由に、鎖国政策を施行し、グローバル化と中国化を排除している。グローバル化とは、中国化+あらゆる国家化であり、グローバル化は中国化とは異なる。だが中国化はグローバル化の重要な一環である。

 台湾は中国化を排除することは不可であるだけでなく、中国が優位な生産条件をさらに利用すべきである。かりに権勢や利益に走り、実現できなければ、台湾伊最大の脅威を生み出す可能性がある。韓国は機先を制し、台湾の競争力が低下した後、さらに優勢に立ち、整合を速やかに進めている。特に中国の興隆の後、巨大な輸入消費市場に変化している。台湾が位置する区域優勢とは豊富な資金と台湾資本家を後ろ盾に、製造業を主に、グローバルなサプライヤーとして重要な役割を果たしている。ネットワークの建設の完備と優秀な人材、ならびに新しく創造できる環境を兼ね備えている。このような優位な条件にある台湾は、有効的な統合を進め、APECのFTAを通じ、区域経済の統合に達することができれば、台湾はさらに多くの可能性を有していると考えている。

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以上が蕭萬長の見解。

 以下は素人の感想文。経済は門外漢で、自分の専門分野は歴史社会学なので。

 蕭萬長は10年前の行政院長の際の経験を語っている最中の経済政策はきわめて具体的な数字、政策を述べている反面、現在、今後の台湾経済のテーマになった途端、その表現が抽象的になり、具体性に欠けている印象を持った。

第一の疑問点、台湾の国際的競争力は低下しているのか

 IMDが発表した2007 年の世界主要国の国際競争力、ならびに投資環境のランクでは、台湾は日本に次いで、18位に位置し、3位のシンガポールの後塵を拝しているものの、韓国の38位に対して、遥かに優位に立っていると発表している。

台湾の国際的競争力の変動

 年度

項目

2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 変動
ランク 17 12 11 17 18 -1
分類            
一、経済表現 29 22 17 25 16 +9
二、政府効率 20 18 18 23 20 +3
三、企業効率 11 6 6 13 17 -4
四、インフラ 20 18 16 18 21 -3
 資料元:http://twbusiness.nat.gov.tw/asp/superior7.asp

 グラフは2003年から2007年までの発表を元していて。

蕭萬長は台湾の国際的競争力が低下していると批判しているが、事実、ランキングは上昇傾向ではないことは確かだが、低下しているともいえない。

 蕭萬長は韓国が改革によって、国際的競争力を増していると強調しているが、実際には近年、韓国のランキングは低迷傾向を示し、韓国の改革は限界が見え始めて、韓国をモデルにするのは、すでに時代遅れであることは明らかであろう。台湾の国際的競争力が低下している指摘は必ずしも正確ではないと思えるが、実際にはどうなんだろう。

 台湾が強い競争力を有する産業と、シンガポール、韓国は大きく異なり、両国を改革成功のモデルにすることは大きな間違いではないのだろうか、とくに台湾と中国の関係は、中国が統一を主張する現状では、ほかの諸国と条件が異なりすぎる。

 

第二の疑問、区域経済の統合は台湾を繁栄させるのか

 蕭萬長は現在、区域経済の統合は当然の潮流であると主張し、台湾の唯一の成長の路は中国との経済的統合であると訴えているが、区域経済の統合が、実際に台湾に利益をもたらすか、検討する必要性が多いのでは。

 特に中国と台湾では、経済状況、貨幣価値の差異が小さくなく、安易な区域統合は安価な中国産の製品が流入をもたらし、台湾の農産業を壊滅させる可能性があるのでは。

 国民党側は「両岸共同市場」を主張する際、中国の巨大な消費市場を強調する反面、中国製品がさらに台湾に流入し、その流入が台湾経済にどのような影響を与えるのか、軽視しているように見受けられるが、実際はどうなのか。

 また近年、日本、アメリカなどで、中国の粗悪な製品が流入し、それが大きな社会問題になっている。

 アメリカではChina Freeというコピーが作られ、非中国産というのが、広告文句のひとつになり、日本でも、中国産の食品を避け、高くても国産の商品が売れるようになりつつあるというニュースが流れている。

 近年、アンチ中国の潮流を国民党はどのように見ているのかという疑問。

 ようするに蕭萬長は、アジア危機の活躍は、間違いないことだが、その認識が微妙に古いのが否めないのではというのが、東森のインタビューを読んだ個人的な感想。

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