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2010.10.08

台湾は今回の尖閣諸島を巡る対立をどう分析?(下)

台湾は今回の尖閣諸島を巡る対立をどう分析?(上)のつづき

Q,このような変化に対し、中国はどのように考え、反応すると考えますか。

高.現段階では、中国も今後の戦略をどうすべきか非常に慎重に考慮していると思います。見ての通り、中国の外交は表面的には、平和を強調し、オブラードに包んでいます、しかし国際政治に精通している人間から見れば、現在の中国は明らかに経済力、軍事力を利用し、東シナ海、南シナ海を越えて、その勢力を拡大しようとしています。また国際社会で中国が政治的、安全保障的でも、さらに重要な役割を担おうとしています。しかし障害はアメリカと日本がアジアの安定のため、いかなる役割を果たすべきか改めて検討している事である。特にインドが日本、アメリカと共同軍事演習を行うことは前例の無い事です。

 ここ数日、アメリカとAPEC各国は東アジアの問題を非常に真剣に討論し始めました。それゆえ尖閣諸島問題は氷山の一角だと言えます。事件自体はそれほど重要ではないです。しかし中国が今回の機会を利用して、中国の力をどのように誇示するのか、しっかりと分析する事が重要です。温家宝はすでに日本に謝罪と賠償を正式に要求し、今度どのように事態が推移するのか、中国は強行手段を採り続けるのか。また北京当局もいかに譲歩が難しい状況なのか理解したと思う、北京当局がどのような戦略で、知恵を働かせるのかしっかりと分析する必要があります。

 多くの専門家が提起しているように、尖閣諸島の対立の背景には石油、天然ガスの埋蔵など経済利益も深く関わっています。しかしこれらの問題は実務的な問題なので、実務的な対話によって解決が可能だと思います。例えば日中両国は東シナ海の石油、天然ガス開発問題を比較的実務的な態度で対応しています。ですから経済分野では双方妥協が可能で、経済的問題の解決は可能だと考えられます。

 しかし問題になるのはやはり安全保障、国家戦略の問題、そして国家的目標などです。主権概念や、国家利益、またはナショナリズムなど抽象的な問題は、時として激しい政治的論争を引き起こします。その背景には国家戦略的が存在します。日米中三カ国はアジアでいかに平和的に共存し、一方で友好関係を保ち、その一方で競争関係を保つかという問題です。

 アメリカの一部のアナリストは、アメリカは21世紀でも世界を主導するパワーを維持できるのかアメリカの基本的価値である民主、人権を最重視すべきか、それとも実務的な平和、経済利益を優先すべきか真剣に検討しています。すなわち中国の台頭とともに、その基本的価値観を妥協すべきか、堅持すべきか。理想と現実、どちらを優先すべきか、この問題はアメリカの外交政策、安全保障問題にとって最も重要な課題です。そのためアメリカ内部では現在も非常に激しい議論が続いています。

 オバマ政権を見ると、就任直後はイランやアフガン問題の処理のため、混乱し、消極的な外交を余儀なくされていました。しかし私が観察するところ、就任二年を過ぎ、ようやく現実を直視し、アメリカが世界を主導する地位を続けるか否か、非常に大きな国家戦略上の問題に取り組み出しました。


民主と人権


Q.世界情勢が変化する中、台湾の海巡署は巡視船を派遣し、尖閣諸島保護団体の護衛を行いました。では台湾はいかなる戦略をとるべきですか。

.尖閣諸島問題には台湾も深く関わっています。しかし現在の馬政権の政策はブレが生じていると思います。過去の民進党時代では尖閣諸島問題では象徴的な主権問題は堅持を維持し、妥協しない姿勢を打ち出す反面、現実を直視し,主権問題で事態が混乱してはいけないという姿勢をとりました。別の角度から見ると、我々台湾と日本、アメリカとは密接な関係で、台湾海峡の安定は非常に重要です。そのため漁業問題や、将来的な経済開発に関して、日本と実務的な対話を行うことに積極的でした。日本とロシアの「北方領土問題」で、主権を棚上げし、実務的な共同開発を行うというモデルを参照していました。

 しかし馬政権誕生以来、状況は更に複雑になっています。馬英九が就任後、尖閣諸島海域で、台湾の船舶と日本の巡視船が衝突するという事件が発生しました。事件発生後、馬英九は日本と一戦を交えることを辞さないと尖閣諸島の領有を強固に強調しました。馬英九の態度は現台湾の首相の吳敦義が二十年前の1990年、高雄市長に就任していた時、陸上大会の聖火を尖閣諸島まで持っていくと主張していたのを思い出しました。このような感情的な対応は日台双方を刺激し、衝突の危険性を高めるだけで、現実的な対応では無いです。その一方で馬政権は中国に遠慮して、中国側には台湾の立場を主張していません。台湾が中国の尖閣諸島事件でその先兵に成り下がるようなことになれば、それは台湾の基本的戦略から大きく外れることを意味します。

 台湾海峡という角度から見れば、台湾と中国は明らかに異なる政治、経済体制で生活しています。台湾の戦略目標は如何に生存し、平和で、安定的な状態を保ち、アジアに貢献する事だ。しかし中国の戦略目標は我々台湾とは異なっています。そのため台湾が過度に中国傾斜することは、我々の基本的理念、価値観を放棄する事を意味し、台湾が過去数十年来の努力に非常に大きなマイナスになるといえます。

 歴史を顧みるに、日本は1930年代、アジアの新秩序を築き、西洋の植民地を排除するという使命感を自認し、訴えました。たしかにそのスローガンは素晴らしいが、実際には何が起きたのか、よく省みる必要があります。  歴史研究者と社会科学者は二つの歴史の悲劇をよく見ます。一つ目の悲劇はヒトラーのように野心がもたらしたもので、もう一つは国家が台頭する過程で生み出される抗し難い野心、夢想が生み出す悲劇です。1930年代の日本の軍国主義は、こうした野心、夢想が非常に恐ろしい結果を招くことを意味しています。そのため台湾が果たすべき役割は非常に大きいです。中国が民主、平和、人権を重視する道を進むかどうか、しかしもし台湾が第二の香港になってしまい、経済利益のみを求めるのならば、中国の人々に与えるプラス影響も消えてしまうだろう。

 国益は短期的利益の追求になりがちだが、本当の長期的利益とは国家の基本的価値観を守る事だといえます。国家指導者は短期的利益と、長期的な価値観に対するしっかりとした認識が必要です。そして基本的価値観を堅持し、慎重に行動する必要です。さもなければ台湾の前途は暗澹としたものになってしまうと思います。

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