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2010年12月

2010.12.28

台湾のメディアが中国に買収されている件について

 先日台湾では、政治大学など、主要大学が台湾メディアの現状を非難する声明を発表した。それによると、台湾メディアの現状の厳しさがよく分かる。

 声明書を起草した学者は台湾大学、政治大学を含める台湾国内十ヶ所の大学メディア学科の学部長などで、この声明に連名の呼びかけに対して、短期間のうちに百名以上の教授の署名を集めた。

 声明では、メディア研究の専門家として、台湾メディアの現状について、社会に対し警告を発する義務があると、台湾メディアの惨状について言明している。

1,政府がメディア記事欄を購買し、政府の中国政策を擁護する記事を掲載させている現状について。

 政府がメディア記事欄を購入し、擁護記事を掲載する事は、民主主義において、メディアが果たすべき正確な情報を報道し、政府を監督するという基本的役割を逸脱する行為である。

 メディアは無節操な「提灯記事」を行っており、記者の身分と尊厳を侮辱しているだけでなく、マスメディアが綿々と築き上げてきた公正、正確、客観性など基本的価値を損なうことだと声明では厳しく非難している。

 またメディア各社は記事欄を売り飛ばし広告記事を通常の記事に偽装している。こうした状況が台湾では当たり前の状況となっている。 

 台湾大学新聞研究所の所長の林麗雲は、長期的には、台湾メディア市場が崩壊し、民主政治が大幅な後退を招くのではと心配していると述べている。

 また政治大学新聞学科学部長の林元輝は政府がメディア記事を買収する問題について、政府が努力して世論の支持を集めるのではなく、金銭で買収しようとしている、さらにその金も人々が納めた税金だと政府とメディアを厳しく批判している。

2.中国当局が台湾メディア上に広告記事を掲載し、広告記事を通常の記事と偽装している件について

 台湾は2008年に政権交代した後、中国各地の地方官が台湾訪問することが増加している。そして台湾メディアがその訪問を大々的に取り上げる特集記事を掲載することが増加している。しかしこうした特集記事は、中国が広告料を支払い、出稿した広告記事なのだ。 

 具体的な例では広東省長が台湾訪問した際、台湾の「中国時報」、「連合報」はともに特集記事を掲載した。しかしその記事は広東省が金銭を支払った広告記事だった

 このような広告記事は中国地方宣伝部が記事を執筆しメディア上では通常の記事のように偽装し、さらに他の有名記者の署名で、メディアに掲載された。


 こうした提灯記事の掲載は他の問題もはらんでいる、メディアは「広告主」の機嫌を損なう事を恐れ、その他の報道にも明らかな影響が出ている。例えば、劉曉波事件の取り扱いでも、明らかな影響がでている。

 すなわち中国との交流が拡大するにつれて、台湾メディアは中国にとってマイナスな内容を掲載する事を躊躇するような、1997年以前の香港のような自己規制するような状況が生まれつつある。

記事元 BBC

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 もともと台湾メディアは惨憺たる状況で、台湾をダメにしている原因の一つだったけど、よもや中国マネーによる報道買収が進んでいて、広告記事を偽装して、掲載していたとは事は知らなかった。

2010.12.24

Wikileaksが暴露する米中関係

 元ネタはBBCから

  Wikileaksが暴露したアメリカ国務省の機密外交文書は米中関係を分析している専門家にとって、驚くような内容の資料はなかったと言うのが多くの専門家の共通する意見だ。しかし暴露された文書には何らかのニュース価値がなかったとはいえない。詳細に分析すれば興味深い内容が浮かび上がってくる。

 欧米メディアが最も注目した内容は中国の北朝鮮政策と、中国政府がGoogleに行った一連の嫌がらせだろう。この件に関して、驚くべきことは、アメリカ国務院には有力な情報源が無かった事が分かった事だ。例えば中国の朝鮮半島政策に関して、暴露された内容は北京当局は北朝鮮を見放している、または中国は北朝鮮と距離を置こうしているという会話が暴露されている。しかしこの情報は韓国と中国の副大臣クラスのプライベートな会話で、話した内容に過ぎないしかし中国の政治システムでは、朝鮮問題など重要政策では副大臣レベルの外交官が独断で決定する事ができないのだ。それゆえこれらの情報がそのまま中国の立場を反映しているとは言えない。また中国ハッカーがGoogleの電子メールシステムに侵入したというスキャンダルでは、アメリカ国務院の情報源は町中の噂に過ぎず、その信頼性は議論の余地がある。

 今回暴露された内容で専門家が最も注目しているのは、アメリカ外交官らが、現在の米中関係と、中国の外交政策をどのように分析しているかという点だろう。

 今回、暴露された内容から理解できる事は、現在、アメリカ当局が最も憂慮していることは、アメリカが中国を抑制する力が失われる事だ。今までの米中両国の国力には大きな格差があり、アメリカ当局の圧力に北京は耐える事ができなかった。しかし現在、米中両国の力関係は大きく変化し、アメリカの伝統的な対中政策は中国の勃興によって大きな挑戦を受けている。WikiLeaksが暴露した内容では2010年、ヒラリー国務省大臣がオーストラリアのラッド(当時首相、現外相)の会談した際、対中政策でクリントンはラッド首相に「金を借りてくれる銀行家にどうやって強行姿勢をとりようがない。」クリントンは中国が最大の債権国になっている事実を指摘し、中国に対して強い態度で迫る事ができないアメリカの内情を嘆いている。このクリントン大臣の発言に対し、ラッド首相はラッド首相は「自分は現実主義者だ」と発言し、具体的な回答はせず、クリントン大臣自身もその議題を続けなかった。

 しかしクリントン大臣が指摘した問題はまさにアメリカ当局の対中政策の現状を示している。アメリカは外交で袋小路に陥り、急成長を遂げ、意気盛んな中国に対抗できないことだ。その一方で中国のアメリカに対する態度も変化している。Wikileaksが暴露した電子メールの中には、興味深いアメリカ駐中大使の分析が掲載されていた。

 その外交官は、最近、中国の官僚達の態度は非常に傲慢で、アメリカが中国に経済制裁を行うような覚悟なければ、中国の保護主義に全く効果を上げる事は難しいだろうと分析し、アメリカは硬軟を使い分け、交渉に臨むよう提言している。このメールでは具体的に強硬対策は書かれていないが、譲歩できる対策として、対中技術輸出制限の緩和を例にあげている。

 Wikileaksが暴露した文章から、アメリカの駐中大使らは、米中関係が今後も安定的な関係を維持する事は難しい事だと考えていることが分かる。中国政府はアメリカの台湾に対する武器販売、またはチベット問題で強行な姿勢を見せており、憂慮すべき要因が少なくない。また北京当局の為替政策、そしてGoogleに対する攻撃は、アメリカ政界の反発を招いている。

 そしてアメリカ国内の高失業率と中国との巨額な貿易赤字がアメリカ国内世論の反中意識を高めている。このように米中両国には、潜在的な対立要因が多い、しかしこのような状況でも、その大使はそれほど悲観的すべきではなく、中国の勃興はアメリカには巨大なビジネスチャンスをもたらすと主張している。そしてアメリカ政府にとって米中関係にとって最も難しい課題は協力と対立する中で、双方妥当な妥協点を見つけ出す事が重要だと。

  Wikileaksが暴露した近年のアメリカのアジアの一連の活動を分析するならば、アメリカ政府は中国当局に対し、有効なカードを持っていないと考えるかもしれない。

 しかし事実はそうではない。暴露された文章から中国の外交政略が失敗した原因、アメリカが適切な対策によって、なぜ中国が1989年の天安門事件以来の外交的苦境に陥っているのか、理解する事ができる。

  アメリカの外交官は2010年2月、アメリカ国務院宛の報告の中で、中国の傲慢な態度が、相手国の親中派を失う結果になっていると文中で何度も強調している。ある日本人駐中外交官は中国の外交官が日中首脳会談をセットする際、強情で、嫌がらせをしてくると嘆き、また他の日本人外交官も尖閣諸島問題で、中国はますます譲歩しなくなってきているとアメリカ外交官に述べている。また最近では、中国海軍戦艦や巡視船が、日本の自衛隊の艦船や海保を挑発するようになってきている。

 またイギリス外交官はコペンハーゲンで行われた国連気候変動サミットでの中国高官の行動は「傲慢で粗暴だ」と不満を漏らしている。ほかにもインドの外交官はアメリカと更に密接な協力関係を築き、中国の強行姿勢に対抗すべきだと主張している。このような情報からアメリカ外交官は、中国外交は「口先では強硬だが、は中身がない」下策だと切り捨てている。

  このような中国の横暴な態度のおかげで、アメリカは苦労せず、中国を牽制することが可能になった。すなわち最近の中国外交は四方に敵を作っているのだ。そのためアメリカは外交ならびに安全保障の問題では、中国に憂慮する国家を支持し、サポートするだけで、中国当局はますます孤立を深めているのだ。

  過去数ヶ月間に、アメリカの対アジア外交戦略は大きく調整された。オバマ大統領は中国中心のアジア政策を放棄し、かわりに日本、インド、韓国、およびASEAN諸国との関係を強化し、中国の圧力に対抗するよう変更した。この戦略は実施されたばかりだが、その成果はすでに現れている。アメリカは対中政略の主導権を完全に回復し、中国の隣国外交は厳しい局面を迎えている。

  残念なのは、アメリカの対中戦略の変更に関する具体的な内容はWikileaksには掲載されておらず、具体的な内容は外部から推測するほかない。

2010.12.15

iTunesStoreでハリーポッターや指輪物語のセットが600円で売られている件について

 iTunesStoreを見ていてハリーポッターや指輪物語のセットがわずか600円で売られていて、驚いた。

ハリーポッター中国語版

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指輪物語中国語版

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さらに山岡荘八の徳川家康も発見。

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しかも臆面もなく、山岡荘八の ©マークを記入している。

電子書籍の海賊版「Appleに重大な責任」「それ自体違法」 出版4団体が強く抗議

小説や漫画の海賊版と見られるアプリの販売がApp Storeで横行している問題で、日本書籍出版協会ら4団体が抗議声明。「Appleに重大な責任がある」「著作権侵害のほう助であり、違法」と非難した。

 iTunesStoreの利点の一つは、ネット経由で世界中でソフトを販売する事ができるようになった事だと思う。しかし同時にこうした問題を生み出している。著作権意識が希薄で、売り逃げをしようとする中国人が多い事。

 上の本だけでなく、探すと、海賊版の本がすぐにみつかる。


 日本のだけでなく、アメリカ、イギリスの書籍の海賊版も蔓延しているようだ。


2010.12.09

中国当局がノルウェイで華人による反ノーベル賞デモを画策

まもなくノーベル平和賞の授賞式が十日ノルウェイのオスロで行われる。今回の平和賞では中国の民主運動家、劉曉波氏が受賞し、特に注目されている。

劉氏は現在、囚役中で、ノーベル平和賞授賞式に参加できないのは、アウン・サン・スー・チー女史以来の三人目で、さらに親族も参加できないのは前例がない。 中国政府が今回の受賞に強く反発している事は知られているが、さらにノルウェイ在住華人に反ノーベル賞デモに参加するよう脅迫していると香港の明報が報道でわかった。

 アムネスティは中国外交官がこの二ヶ月間で、ノルウェイ在住の華人に「デモに参加しなければ、将来の生活に厳重な影響を及ぼす」と脅迫していると発表した。

 アムネステのJohn Peder Egenasは「我々は中国当局が北京的な迫害をオスロまで持ち込んできた事に驚いている。」とし、「ノーベル平和賞の受賞日は本来、晴れがましい日であり、祝福するべき日です。しかし残念で悲しい事に中国人はデモの参加を強制されています。」と中国を非難した。

 十日に行われる受賞日に、ノルウェイ在住の中国人によるデモが行われたら、そのデモは中国政府に強制だと言うことだ。

 中国は近年、経済発展を遂げ、その国際的発言力が増してきているが、その専制性、傍若無人ぶりはますます目に付くようになってきている。

中國逼挪威華人遊行反諾獎 (09:48)

「國際特赦」組織指,中國政府對旅居挪威的僑民施壓,要他們在頒發和平獎當天,遊行反對諾貝爾獎。

諾貝爾和平獎頒獎典禮,將於12月10日(明天)在挪威首都奧斯陸舉行。今年得主劉曉波因在獄中服刑,無法前往挪威領獎。

「國際特赦」組織引述「可靠消息來源」指,過去2個月以來,中國外交人員持續造訪旅居挪威的中國僑民,對他們施壓,受訪的僑民都感到威脅。

中國官員威脅這些僑民,如果不參加抗議活動,未來他們的生活將受到嚴重的影響。

「國際特赦」挪威分部主任尤金斯(John Peder Egenas)表示:「我們對中國當局將北京的逼害氣氛帶到奧斯陸,感到很震驚」。

尤金斯說,「諾貝爾和平獎頒獎日應該是個驕傲的日子,並值得慶祝,但很遺憾並令人哀傷的是,中國民眾被迫要參加示威活動」。

中國逼挪威華人遊行反諾獎 (09:48)

2010.12.01

台湾主要都市の首長選挙結果

 先日の11月27日、台湾の主要都市の首長選挙結果。

根據台灣中央選舉委員會公布的數據,國民黨籍候選人郝龍斌、朱立倫和胡志強分別當選台北、新北和台中市長。

民進黨籍候選人賴清德和陳菊分別當選台南和高雄市長。


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 国民党候補者の郝龍斌、朱立倫と 胡志強がそれぞれ台北、新北、台中市長に当選。

一方、民進党候補者の賴清德、陳菊がそれぞれ台南と高雄市長に就任。

 今回の選挙では高雄では、民進党の現職市長、現職県長の合作が失敗し、分裂選挙になった。また高雄を襲った台風後の対応について、国民党系メディアが民進党候補者である陳菊に大規模なネガティブキャンペーンを行った。しかし南部ではネガティブキャンペーンの効果はほとんどなく、大差で勝利した。

 台南はもともと民進党の勢力が最も強い地域で、終始民進党が優位に選挙戦を進めていた。予想通り、民進党候補者が大差で勝利している。

一方、台中、台北、新北は国民党がそれぞれ首長の座を守った。

 今回の焦点は台中、台北、新北など、民進党が首長の座を奪取できるかどうかが注目されていた。結果だけ言えば国民党側が勝利したといえる。

銃撃事件の影響

 選挙前日、国民党名誉主席連戦の息子が銃撃されるという衝撃的な事件が起きた。

這一次國民黨搶下三席,尤其在台北市大勝,很多人都說,就是因為選前連勝文遭到槍擊的事件,讓選情翻盤。

http://tw.news.yahoo.com/article/url/d/a/101129/69/2i2uy.html

 ほとんどの台湾メディアも今回の選挙に前日の銃撃事件が大きな影響を及ぼしたと分析している。とくに台北市では予想以上の大差になったのは、銃撃事件で同情票が集まったからだと言われている。

 今回の選挙で国民党陣営が最も心配していたのが、馬政権に不満を持つ国民党支持者が選挙の投票に行かず、棄権されることだった。事実、前回の台東の選挙では国民党の投票が大幅に減少し、国民党が敗北するという結果になった。しかし事件の結果、そうした国民党よりの支持者がやはり投票し、結果、国民党票の減少を抑える事になったと見られている。

 一方、銃撃事件は実行犯の一人は逮捕されたが、共犯の二人は逃亡し、まだ捕まっていない。

 事件直後、容疑者は警察の取り締まりに対し、連勝文を銃撃したのは人間違いで、ほかの国民党候補者を狙っていたと述べている。犯人と国民党議員と土地を巡り、トラブルが起き、その報復で銃撃したと供述している。しかし連勝文本人は病院で犯人は撃つ直前、彼の名前を叫び、銃撃してきたと答えており、犯人の供述は偽りで連勝文本人を狙っていたと答えている。

 また国民党候補者も土地トラブルがあったことを否定している。

 実は2004年に起きた陳水扁銃撃事件も容疑者が自殺していたという、背後関係があいまいなまま、事件究明の幕が閉じた。やはり選挙賭博と関係しているのではという声も多いが、どこまで事件の究明がすすむのかはかよく分からない。

 前回、陳水扁が狙撃された事件では事件後、国民党は事件を自作自演だと訴え、台湾政治が大きく混乱した。しかし今回はそのような混乱は起きないだろう。これを台湾の民主主義が深化した証拠だという声もあるが、民進党が国民党のような執拗な抗議を行わないだけで、立場が逆ならば、どうなっていたのかは分からないのではと思う。

 このあっさりした性格は良かれ悪かれ台湾人気質で、国民党の持つ中国人的な粘着質な性格と大きく異なっているのが見て取れるのでは。

2012年総統選挙に対する影響

 今回の選挙が注目されていたのは、今回の選挙が2012年総統選挙に大きな影響を及ぼすと言われていたからだ。特に台北、新北は台湾の政治、経済の中心で、その注目度はケタ違いだ。李登輝以来、歴代台湾総統はみんな台北市長の経験者で、それだけ大きな政治的影響力を持っている。

 しかし今回の選挙では現職の汚職疑惑や不祥事が相次ぎ、国民党首長の支持は低下する一方だった。そのため今回の選挙では、民進党側が当選する可能性も少なくないと見られていた。そのため現在、北部や首長交代、国民党の勢力が強い台中で民進党が勝利すれば、2012年の総統選挙にも大きな影響がでるだろうと見られていた。

 だが国民党が三都市とも勝利した事は中国人観光客の急増や中国経済の好況の影響を受け、リーマンショック後、低迷した景気も回復しつつあり、このような経済環境が国民党側に有利に働いたと言えるだろう。


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 しかし純粋に国民党側の勝利だったかと言うと、単純には言い切れない。選挙全体の得票率だけをみれば、民進党が全体の49.87%の票を獲得し、国民党は44.54%で、得票率だけを見ると民進党が上回っていた事が分かる。南部の選挙では圧倒的に民進党が票を獲得し当選していた野に対し、北部では両党が拮抗していたためだと言える。

 陳水扁の汚職疑惑以降、民進党の支持は低迷し、得票率でも国民党と大差をつけられていた。その結果、2008年の総統選挙で、民進党は破れ、再び国民党が与党になった。しかし馬政権発足後、様々な問題が起き、国民党の支持も再び低下している。その一方で、蔡英文を中心にポスト陳水扁体制を築いた民進党の支持を再び取り戻してきたと言える。

 特に南部では国民党を圧倒する支持を集めるようになっている。

 台湾では中国と関係強化によって、経済的利益を受ける層と、そうではない層とはっきり分かれ、今回の選挙結果は、南部では中国との関係強化に対し、強い警戒感を抱いている事が分かる。

朝日新聞では今回の結果を、台湾が中国との関係強化を肯定化した結果と評しているが、台湾内部はそれほど単純ではないと思う。事実、台湾人の意識調査で、近年の中国との関係強化に関わらず、中国との統一を支持する割合が減少する一方だ。経済的関係の強化が台湾人の統一に対する拒否反応を減らしていないことを示している

 首都選挙の敗北は本来、民進党にとってダメージは少なくない出来事だ。特に新北市長選挙に出馬した蔡英文らの政治的影響力の低下は免れない事だった。今回市長選に出馬した蔡英文、陳菊らは民進党で最も人気、実力を備え、2012年、総統選挙の民進党側の有力候補でもある。そのため国民党は、民進党は市長を総統選までの腰掛けにすぎないと批判したため、当選した際、任期終了まで市長を務めると公約していた。ようするに今回の市長選で当選した場合、総統選挙で当選の確率が高い政治家が総統選に出馬できないという状況になる。

 今回は銃撃事件という突発的なアクシデントが起き、土壇場で状況が一変してしまった。民進党内部では落選の責任を問う声は一部から出てきているが多くはなく、党内の多数が続投することを支持しているようだ。皮肉な話だが、銃撃事件のため、蔡英文は2012年の総統選挙に後腐れ無く出馬することができるようになったとも言える。

 しかし民進党が抱える問題は少なくない。一番の問題は民進党はもともと反国民党を旗印に結成した経緯から、党内部では政策の違い、派閥など、内部対立が激しい構造を抱えており、党内部の派閥争いが党勢を著しく衰えさせている。また台湾メディアは圧倒的に国民党系メディアで、さらに最近ではチャイナマネーも台湾メディアに進出していて、三立、民視など台湾本土派メディアもあるが、資金力で劣っている。そのため既存の大手メディアでは民進党に対するネガティブキャンペーンばかりで、何かと劣勢に立たされやすい。

 また馬英九の就任以降、チャイナマネーの影響は強くなる一方で、台湾経済は中国経済に取り込まれつつある。そのため、中国との距離を置く事がますます難しくなってきている。

 はてさて、どうなることやら。

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